工場の屋根修理には「葺き替え」という手法があります。本記事では、葺き替えの費用相場やメリット・デメリット、他の工事方法である「塗装」や「カバー工法」との違いをご紹介いたします。工場の屋根修理をご検討の方はぜひ参考にしてください。
葺き替え工事とは
葺き替え工事とは、既存の屋根を撤去したうえから新しく屋根を設置する工事方法のことです。屋根の撤去費用はかかりますが、新品の屋根は外観が良いと評判で、ご予算に余裕がある方のなかには工事を検討する方も数多くいます。
既存の屋根をすべて取り除くことから、屋根材の下に敷くルーフィングシート(防水機能を持つシート)も張り替えるため、防水性を新築時同等のレベルまで高められます。近年では集中豪雨による漏水リスクも高まっていますので、おすすめの工事方法のひとつだと言えるでしょう。
葺き替え工事のメリット・デメリット
葺き替え工事のメリット・デメリットをそれぞれご紹介いたします。
メリット
屋根材を剥がすため、劣化した屋根の下地まで補修が可能です。重量のある屋根から金属(ガルバリウム鋼板など)の比較的軽量な屋根に葺き替えることで耐震性の向上も見込めます。さまざまな巨大地震が想定される国内では災害対策はもはや必須なため、大きなメリットだと言えるでしょう。また、新品の屋根材を用いることで屋根の耐用年数が伸びます。頑丈な屋根材で、安心して任せられる専門業者に工事をしてもらえばメンテナンスの頻度も減らせることでしょう。
デメリット
屋根の撤去費用がかかることから、工事費用が高くなる傾向にあります。とくにアスベストが含まれる屋根(2004年以前に取り付けられた波形スレート)の場合、廃棄物処理代が高額になる可能性もあるでしょう。また、他の工事方法に比べると工事期間が長引きます。工場施設の場合、操業を停止しなければならない可能性もあるため、慎重にご検討ください。
葺き替え工事の費用相場
葺き替え工事の費用目安は、1平米あたり下記金額となります。
・波形スレート:24,000円〜30,000円前後
・折板屋根:13,000円〜18,000円前後
(※1)波形スレート:セメントと繊維などを混ぜ合わせた波形の屋根。耐久性と遮音性に優れているが、表面に土埃が付着しやすいという特徴を持つ。
(※2)折板屋根:ギザギザに成形された金属素材の屋根。工期は短く済むが、夏場は室内が高温になり、雨天時には雨音が響きやすいという特徴を持つ。
本記事でご紹介する金額はあくまで目安です。実際の費用は工事会社・工事内容・工事時期によって異なります。詳細な金額は専門業者にお問い合わせください。
葺き替え工事以外の費用相場
参考までに、葺き替え工事以外の工事方法である「塗装」「カバー工法」の費用相場もご紹介いたします。それぞれ費用やメリット・デメリットが異なりますので、ぜひ参考にしてください。
塗装
塗装工事とは、屋根表面に塗装を施す工事方法のことです。ただ見た目を修復するだけではなく、防水や防汚のコーティングを施すことで屋根を保護する役割も担います。
塗装工事の費用は、1平米あたり下記金額が相場です。
・波形スレート:5,000円〜8,000円前後
・折板屋根:4,000円〜7,000円前後
塗料工事は天候などの外的要因によって剥がれ落ちてしまいます。また、防水コーティングに関しては一般的に効力が10年前後と言われます。とくに集中豪雨が多発する地域では、定期的に実施すると良いでしょう。
カバー工法
カバー工法とは、既存の屋根のうえから新しく屋根を重ねる工事方法のことです。屋根を撤去する必要がないことから工事費用が比較的安く抑えられます。
カバー工法の費用は、1平米あたり下記金額が相場です。
・波形スレート:8,000円〜10,000円前後
・折板屋根:5,000円〜8,000円前後
葺き替え工事とよく比較されるカバー工法ですが、大きなメリットとしては下記3点が挙げられます。
①稼働を止めずに工事できる
屋根を設置したまま工事を進められるので、工場の稼働を止めずに済みます。工場内にある機械や製品を端に避ける必要もないため、作業工程を変えずに通常通りの稼働を維持できるでしょう。落下物が発生するリスクもないため、従業員に対する安全も配慮できます。
②工期が短く済む
屋根を撤去する必要がないため、工事期間を短く済ませられます。工事音などの近隣住民への影響を考えた際に「どうしても工期を短く済ませたい」という工場関係者の方におすすめです。
③防水性や防音性が高まる
屋根を二重にすることで防水性や防音性が高まります。とくに工場施設の場合、雨漏りは稼働状況に大きな影響を与えるリスクとなるでしょう。火災や感電などが発生すれば重大な事故にも繋がりかねません。近年では国内でも集中豪雨が多発していることから、事前に雨漏りのリスクを減らすことは大きなメリットだと言えます。また防音性を高めることで、工場内の音が外に響きにくくなるため、近隣住民への影響を最小限に抑えられるでしょう。
葺き替え工事で専門業者を選ぶポイント
葺き替え工事を行う際には、慎重に専門業者を選ぶ必要があります。比較的大規模な工事となるため、下記2点は発注前に確認しておきましょう。
実績や歴史を確認する
発注前に必ず専門業者の施工実績を確認しましょう。大規模な工事となるため、もし工事中にミスが発生した場合は事故にも繋がりかねません。事故が起きた場合には、近隣住民や取引先への説明責任も問われるため、できるだけ避けたいところでしょう。専門業者の公式サイトやインターネット上の口コミを参考に施工実績や技術力を確認してください。もし実績が確認できない場合は、公式サイトの会社情報にて創業年数を確認してみましょう。会社の歴史が長ければその分だけ施工実績があると判断できます。
相見積をとる
必ず複数社から見積をとりましょう。専門業者のなかには不当に価格を釣り上げてくるところもあります。価格相場を把握したうえで、適切な見積金額を提出してくれた専門業者に依頼をしてください。また、見積を依頼する際に現地調査の協力をお願いされることがあるでしょう。予め調査をすることで、より適切な工事金額を算出できるため、できるだけご対応いただくことをおすすめしています。
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