床の沈下修正

工場・倉庫の床面修正の特徴

工場や倉庫の床の劣化は、出来るだけ早く補修する必要がありますが、工場の操業への影響や床沈下の程度と原因などを、総合的に判断して決定する必要があります。

新設同様の耐用年数が期待でき、メンテナンス周期を長くしたい場合は、コンクリート床打替工法が向いています。
工事に際して床下配管の更新や床勾配の修正なども同時に実施できる利点がある一方で、床全体の解体が必要となるため、完全な操業停止が必要です。
また、初期投資が大きく、工期も長期化が避けられないため、設備レイアウトの全面的な変更時などに検討すべき工法といえます。

工場の完全停止を避けたい場合は、硬質ウレタン注入工法が最も適しています。
床を破壊せずに施工可能な工法であるため、機械設備の移動が不要です。
粉塵や振動が少なく、施工後すぐに建物の使用が可能です。
作業時間が短いため、最も操業影響が少ない工法として知られています。

工場における地盤沈下の原因

地盤沈下は、地表面が収縮や陥没により徐々に沈んでいく現象です。工場の地盤沈下には、主に以下のような原因があります。

機械による振動と荷重

・工場内の重機や機械からの継続的な振動
・大型機械設備による局所的な荷重集中

床下空洞の形成

・コンクリート土間下部の地盤の緩み
・水分や空気の抜けによる圧密沈下
・不適切な地盤改良や施工による空洞の発生

生産活動に関連する要因

・工場での生産過程で使用する大量の地下水の汲み上げ
・重量物の定期的な移動や保管による局所的な負荷
・工場設備の増設や改修による荷重変化

建物構造に関する要因

・鉄筋コンクリート床下の不均一な圧密
・基礎杭の損傷や施工不良
・建物荷重の不均等な分布

操業による影響

・24時間稼働による継続的な振動と荷重
・生産ラインの配置変更による荷重分布の変化
・床面への繰り返し荷重による疲労

特に工場の場合、重量機械の設置や継続的な振動による影響が大きく、通常の建物よりも沈下のリスクが高くなります。
これらの問題を防ぐためには、事前の地盤調査や適切な基礎工事、定期的な点検が重要です。
また、沈下が発見された場合は、早期に補修・補強工事を実施することが推奨されます。

工場における地盤沈下の悪影響

工場の地盤沈下は、企業の生産活動と経営に深刻な影響を及ぼす構造的な問題です。
地盤沈下により発生する床下の空洞化や沈下は、機械の性能低下や故障を引き起起こし、生産精度の低下を招きます。
また、建物構造面では、コンクリート土間のひび割れや段差の発生、ドアやシャッターの開閉不具合など、日常的な業務に支障をきたす問題が発生します。
さらに、重機（フォークリフトなど）の転倒リスク増加や作業員の転倒事故リスクにつながります。

作業環境の安全性という観点からも、地盤沈下は深刻な問題を引き起こします。
商品ラックや台車が予期せず移動したり、荷物の積載安定性が低下して荷崩れのリスクが高まったりするなど、従業員の安全を脅かす状況が生まれます。

これらの問題は、最終的に企業の経営面に大きな打撃を与えます。
設備の修繕費用増加、保管効率の低下による収益性の悪化、作業効率の低下、従業員の健康管理コストの増加など、多岐にわたる経営負担が発生します。
このため、地盤沈下の早期発見と適切な対策が不可欠であり、定期的な地盤調査と予防的な補強対策を実施することが、工場経営の安定性を確保する上で極めて重要となります。