工場のエアコンが効かない!?理由と対策を徹底解説

工場のエアコンが思うように効かないとき、原因は設定温度だけではありません。
屋根からの輻射熱や広い空間での温度ムラ、換気や出入口による冷気の流出など、建物の構造や運用方法が影響しています。
本記事では、現場で試せる応急処置と、屋根対策やゾーニングなどの根本的な対策を紹介し、検討の手順とポイントをわかりやすく解説します。
工場のエアコンが効かないと感じたら、ぜひ参考にしてみてください。

工場のエアコンが効きにくい理由

工場のエアコンが効きにくい理由

工場のエアコンが効かない場合、空調以外に次のような原因が考えられます。

● 屋根からの輻射熱で室内が常に高温になっている
● 広い空間と高い天井で冷気が作業員まで届かない
● 換気不足と冷気の逃げ

屋根からの輻射熱で室内が常に高温になっている

工場のエアコンが効きにくい理由の一つは、屋根からの輻射熱(ふくしゃねつ)で室内が常に温められているからです。
金属屋根やスレート屋根は、輻射熱の影響で真夏の昼間にはフライパンのように熱くなり、その熱が天井裏や鉄骨にじわじわと伝わります。

夕方になって外気温が下がっても、天井付近はサウナのように熱く、エアコンの冷気がすぐに打ち消されることもあります。
つまり、冷却能力が足りないわけではなく、屋根からの熱が供給され続けるため、冷房が追いつかず暑さを感じているのです。

なお、輻射熱について知りたい方は、次の記事も参考にしてみてください。
工場の屋根の暑さ対策5選!原因と実例も紹介

広い空間と高い天井で冷気が作業員まで届かない

工場の広い空間や高い天井では、エアコンの冷気が作業員のいる高さまで届きにくいのが問題です。
床付近は涼しい場所がある一方で、生ぬるい空気がよどむ部分もあり、「同じ室内なのに暑さがバラバラ」という状態になりがちです。

作業者が「全然効いていない」と感じる場合は、ビニールカーテンなどで空間を区切ると改善することがあります。

換気不足と冷気の逃げ

窓や通気口を極力減らした工場では、機械の排熱や湿気がこもりやすく、室内全体がむっとした熱気に包まれがちです。
また、フォークリフトの出入りやシャッターの開閉が頻繁にあると、せっかく冷やした空気が一気に外へ逃げ、代わりに熱い外気が流れ込んでしまいます。

こうした状態では、空調をどれだけ強くしても効きにくく、電気代ばかりかさんで作業員の体感温度はほとんど改善しません。

冷気を逃さず、空気の通り道を確保する設計が大切です。

工場のエアコンが効かないときの応急処置

工場のエアコンが効かないときの応急処置

工場のエアコンの効きを良くするために、いますぐできる3つのことを紹介します。

● エアコンのフィルターを洗う
● ショートサーキットが発生していないか確認する
● ビニールカーテンで区切る

エアコンのフィルターを洗う

工場のエアコンが効かないと感じたら、まず疑うべきはフィルターの目詰まりです。
フィルターがほこりや粉じんで詰まると、吸い込み風量が落ち、冷却能力が大幅に低下します。

実際にカバーを開けると、フィルターがほこりでびっしり詰まっているケースも少なくありません。
こうした場合は、洗浄するだけで風量や冷え方がはっきり変わることがあります。
一度運転を止め、安全に配慮しながらフィルターを取り外し、水洗いまたは掃除機で清掃し、いつも通りの設定でどれくらい体感が変わるかを確認してみてください。

ショートサーキットが発生していないか確認する

屋外機まわりで「ショートサーキット」が起きていると、エアコンはどれだけ運転しても十分な冷房能力を発揮できません。
ショートサーキットとは、排気や冷却後の温かい空気が本来の流れを離れて、再び冷却装置の吸い込み口に戻ってしまうことです。
屋外機を壁際に詰めて並べたり、囲いで囲んだり、荷物が積まれた風通しの悪い場所に置かれたりすると、排気がこもり、周囲の空気が熱風のような状態になります。
エアコンの効きが急に悪くなったときは、屋外機の前後左右と上部に十分な空間があるかを確認し、障害物の移動や位置調整を行いましょう。

ビニールカーテンで区切る

工場全体を一気に冷やそうとすると、どうしても冷却能力が不足し、「どれだけ回しても涼しくならない」状態に陥りがちです。
そこで有効なのが、透明のビニールカーテンなどを使って作業エリアを区切り、「冷やす範囲を意図的に小さくする」応急処置です。

組立ラインや検査エリア、長時間人が立ちっぱなしになる持ち場だけをカーテンで囲うだけで、同じエアコンでも冷気が逃げにくくなり、体感温度を数℃下げられることがあります。
腰から頭の高さ付近まで仕切るだけでも冷気の滞留が変わるので、まずは一列だけ試験的に区切って効果を確認してみると良いでしょう。

工場屋根の根本的な暑さ対策5選

工場屋根の根本的な暑さ対策5選

続いて、工場の暑さを根本から対策する方法を5つ挙げます。

● 遮熱塗装を施す
● 遮熱シートを敷き込む
● 屋根散水装置をつける
● カバー工法で屋根を覆う
● シーリングファンで室内の空気を循環させる

遮熱塗装を施す

まず検討したいのが遮熱塗装です。
太陽光や赤外線を反射する塗料を屋根表面に塗ることで屋根自体の温度上昇を抑え、室内に伝わる輻射熱を減らせます。
実際にスレート屋根へ施工すると、裏面温度が8.6℃下がった事例もあります。

予算を比較的抑えながら、エアコンの設定温度を下げすぎずに作業環境を整えられます。

遮熱シートを敷き込む

より高い遮熱効果や長期利用を目指す場合は、屋根に遮熱シートを敷き込むことも検討しましょう。
屋根の上面や裏面に施工することで、屋根裏の熱だまりを大幅に減らせます。
特にスレート屋根や折板屋根の上に直接敷くと、既存の屋根を活かしつつ、比較的軽い工事で暑さ対策と空調効率の向上が可能です。

高所作業になるため、DIYではなく、遮熱シート施工の経験が豊富な専門業者に依頼するのがおすすめです。

屋根散水装置をつける

真夏の強い日差しに対して即効性のある方法として、屋根散水装置の設置があります。
スプリンクラーで屋根表面に水を撒き、水が蒸発するときの気化熱で屋根の温度を下げる仕組みです。
簡単に言うと、打ち水の大規模版のようなイメージです。

暑い日中に散水すると、屋根材の表面温度が下がり、屋根から室内へ伝わる熱も抑えられます。
その結果、エアコンの負荷が軽くなり、作業者の体感温度も改善します。

ただし、水源の確保や配管・ノズルのメンテナンス、排水計画など、運用面の検討も忘れずに行う必要があります。

カバー工法で屋根を覆う

屋根の劣化や暑さをまとめて解決したい場合は、既存屋根の上から新しい屋根材をかぶせるカバー工法がおすすめです。
既存の屋根を撤去せずそのまま下地として活かすため、操業を止めずに施工できて廃材も少ないのが特徴です。

実際に、中間層に遮熱シートや断熱材、空気層を設けることで屋根裏温度を10℃前後下げられた実測データもあります。
屋根の寿命を延ばしつつ、雨漏り・暑さ対策を一度に進めたいときにおすすめです。

カバー工法の工事を検討したい方は、以下のページにも目を通してください。
「WKカバー工法」とは?

シーリングファンで室内の空気を循環させる

シーリングファンを設置すると、天井付近にたまった暖かい空気をかき混ぜて室内を効率良く循環させ、室温を均一にできます。
比較的低コストで設置でき、消費電力も小さいため、工場の暑さ対策としてコストパフォーマンスに優れた方法です。
夏場は冷房の効きが良くなり、冬場は暖房効率も向上するため、年間を通してエネルギーコストの削減にもつながります。

ただし、ファンにホコリが積もると風量が落ちて効率が下がるため、定期的な清掃や点検をセットで考えておきましょう。
シーリングファンの導入を現実的に考えたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
気流改善対策

まとめ

まとめ

今回は、工場のエアコンの効きを良くする方法について解説しました。
フィルターを見直したり屋根を改修したりするだけで、エアコンの効きが良くなったと感じるでしょう。

根本的な対策として特におすすめなのが、カバー工法です。
操業を止めずに工事できるうえ、撤去を伴う大規模改修と比べて工期や費用を抑えやすいのが特長です。
詳細は、以下のページでご確認ください。
「WKカバー工法」とは?

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