近年ではゲリラ豪雨や地震などの影響から、浸水被害を受ける工場施設が増えています。
工場や倉庫でできる水害対策はあるのかと、気になっている方も多いでしょう。
本記事では浸水対策として、事前に用意できる8つの対策をご紹介しますので、工場関係者の方々はぜひ参考にしてください。
水害が工場・倉庫にもたらす影響

水害が工場や倉庫にもたらす影響をざっと挙げると、次のようなものが考えられます。
● 人的被害
● 原材料・商品の損壊
● 建物補修コストの発生
● 機械設備の故障による生産ラインの停止
● 重要なデータの消失
人的被害
水害時に最も重要なのは、従業員の命と安全の確保です。
特に夜間の豪雨や予測不能な増水時には、避難の遅れが深刻な事故を引き起こす可能性があります。
未然に防ぐには、事前の避難計画や訓練を行い、早期の判断で安全確保を徹底することが大切です。
人的被害は取り返しがつかず、企業の社会的責任にも関わるため、最優先で対策しましょう。
原材料・商品の損壊
水害による原材料や商品の浸水・損壊は、企業にとって大きな損失を招きます。
生産や出荷の停止により売上が減ってしまうだけでなく、廃棄処理にもコストがかかります。
特に食品や精密機器などは水濡れによって一瞬で価値を失うため、防水対策や高いところに置くなどの対策が必要です。
建物補修コストの発生
浸水によって建物が損壊すると、補修や改修に多大な費用が発生します。
壁・床・屋根・電気系統などが被害を受けると、使用不能となるスペースが増え、業務継続に支障をきたします。
さらに、被害を放置すれば次の水害時に被害が拡大するリスクも高まります。
倉庫屋根の葺き替え費用については、あわせて下記記事をご確認ください。
倉庫の屋根修理に必要な費用とは?修理方法と雨漏り対策についても解説
機械設備の故障による生産ラインの停止
工場内の機械が水害で故障すると、生産ラインが停止し、事業活動が完全にストップする事態になる恐れがあります。
特に自動化された設備では、一部の故障が全体に波及するため、被害の影響は大きくなる傾向にあります。
設備の水没防止措置や速やかな復旧計画を整えておくことが、生産停止リスクの軽減につながるでしょう。
重要なデータの消失
水害により顧客情報や設計データが消失すると、業務の再開が困難になり、信用問題にも発展しかねません。
特に紙媒体やローカルサーバーのみでの管理はリスクが高く、復旧も困難です。
クラウド活用を活用したり定期的なバックアップを実施したり、物理的な災害から情報資産を守れるような対策を打っておきましょう。
工場・倉庫で
水害・浸水対策を実施するべき
8つの水害・浸水対策

自然災害はいつ発生するのか予測ができません。
とくに「ゲリラ豪雨」や「地震による津波(河川の氾濫)」は被害が大きくなる傾向にあるほか、漏電による火災などの二次災害に繋がる可能性もあります。
いざという場合に備えて、これから紹介する8つの浸水対策はあらかじめ用意しておくと良いでしょう。
1. ハザードマップを確認する
2. 土のう袋・止水パネルを手配する
3. 業務用モップを用意する
4. 定期的に訓練を実施する
5. 床に物を置かないようにする
6. 日頃から排水設備を掃除する
7. 耐久性の高いガラスを設置する
8. 拠点を分散する
ハザードマップを確認する
自治体や国土交通省からはハザードマップポータルサイトが公表されていますので、洪水・土砂災害・高潮・津波など、工場が置かれている地域の災害リスクを把握しておきましょう。
リスクを把握しておくことで、適切な行動基準を定められるほか、従業員の危機意識の向上にも繋がるはずです。
また、実際に災害が起きた場合に備えて、避難場所や避難経路などを事前に確認しておくことも重要です。
地図をプリントアウトして、各室内の扉に目立つよう設置しておくと、いざというときにすぐに確認・避難できます。
具体的な地域のリスク情報は、次のサイトを見てみてください。
ハザードマップポータルサイト
土のう袋・止水パネルを手配する
土や砂を含んだ「土のう袋」や、水をせき止める「止水パネル」は用意をしておきましょう。
災害が起きた際に、これらを工場の周りに置いておけば、浸水を防ぎ、被害を最小限に留めることができます。
「土のう袋」は購入費用が安く抑えられる一方で、災害時に持ち運ぶには重く、設置時に隙間ができやすい点に注意が必要です。
もし不安であれば「止水パネル」のほうが軽量で簡単に設置ができるので、おすすめです。
業務用モップを用意する
敷地内に浸水してしまった場合の事後対応策として、吸水性の高い業務用モップは購入しておいてください。
浸水被害によっては普通のモップでは対応できない恐れがあるため「水切りワイパー」「吸水ローラー」などがあると便利でしょう。
※モップはあくまで軽度な浸水の事後対応策としてご紹介しています。
浸水時は危険なため避難を優先してください。
定期的に訓練を実施する
定期的に訓練を実施しておくと、緊急時にも焦らずに対応ができます。
とくに「土のう袋」「止水パネル」は水害時にしか使わないものなので、使い方をあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。
また、訓練を実施しておけば避難経路も覚えられるので、従業員の人命確保にも繋がります。
避難訓練は法律によって指定された回数の実施が義務づけられていますが、なかにはシナリオがマンネリ化して困っている工場様もいるでしょう。
自治体や消防署によっては、団体で防災訓練を受けられる場合もあるため、お申し込みをご検討されてみてはいかがでしょうか。
床に物を置かないようにする
パソコンや重要書類は、浸水被害を受けてしまうと故障・紛失に繋がりかねません。
日頃から床に置かないようにしておくと被害を最小限に抑えられるでしょう。
また、貴重品は1つの倉庫で保管しておくと、いざという時に持ち運びが可能です。
信頼できる従業員には保管場所を教えるなどして、被災時にその場にいるメンバーで持ち出しができるようにしておきましょう。
日頃から排水設備を掃除する
排水溝・雨樋はゲリラ豪雨の際に、水を排水する役割を果たします。
これらの排水部分が詰まってしまうと、災害時にうまく水が流れずに被害が大きくなる可能性があります。
日頃からこまめに掃除をして、水が流れるような状態にしておきましょう。
耐久性の高いガラスを設置する
浸水の影響が大きくなると、工場のガラスが破損してしまう可能性があります。
割れると敷地内に水が侵入してくるほか、破片を踏んで負傷者が出てしまうことも考えられるでしょう。
耐久性の高いガラスに取り替えるか、ガラスフィルム・シャッターを取り付けるかして、対策しておくことをおすすめします。
拠点を分散する
1つの拠点に生産体制を集中させていると、被害を受けた際に生産ラインが停止してしまいます。
そもそも拠点を分散させておく、もしくは予備の拠点を設けておくことで、生産稼働への影響を最小限に抑えられるでしょう。
工場・倉庫で
水害・浸水が起きた際のポイント

工場で実際に浸水が発生した際のポイントをご紹介します。
● 水害を予測する
● 従業員の安全を確認する
● 被害予想を確認する
● 重要書類や貴重品を避難させる
● 工場・倉庫を復旧させる
水害を予測する
気象庁や自治体の発表を活用し、雨量・河川の増水状況などを早期に把握することで、ある程度浸水の可能性を予測できます。
予測情報をもとに、対策の準備をしたり従業員へ指示したりすることで、被害の拡大を未然に防げる可能性が高くなります。
日頃から最新の災害情報に敏感になっておくと、迅速かつ的確な判断で対処できるでしょう。
従業員の安全を確認する
浸水が発生した場合、まず行うべきことは従業員の安全を確認することです。
避難警報が発令されていなければ、各現場で点呼を行い、従業員全員の「人命は安全か」「負傷者はいないか」を確認します。
また、避難警報が発生されていれば直ちに避難指示を行いましょう。
自治体のハザードマップに指定された避難施設に向かう、それが厳しそうであれば可能な限り高台に向かうなど、状況に合わせて的確な指示が必要となります。
被害予想を確認する
仮に避難警報が発令されていなくても、まだ安心はできません。
ニュース・ラジオ・市町村の発表情報にアクセスをして「今どのような状況なのか」「今後どの程度の被害が想定されるのか」を必ず確認しましょう。
今後の予測被害をもとに、取るべき行動を定めて、従業員全員に共有を行います。
共有までの時間が遅れてしまうと、従業員を不安にさせてしまうほか、最悪の場合は危険に晒せてしまう可能性があるため、できるだけ早く共有を行いましょう。
重要書類や貴重品を避難させる
安全に最大限の注意を払ったうえで、重要書類や貴重品はできるだけ高いところに置いておく、もしくは持ち運んで避難をしましょう。
※最も大事なのは安全です。
緊急避難命令が出ているにも関わらず、敷地内に引き返してまで持ち運ぶことは絶対に避けましょう。
工場・倉庫を復旧させる
災害後、安全が確認されたら速やかに工場や倉庫の復旧作業に取りかかりましょう。
被害の全体像を把握し、浸水箇所や故障設備を優先的に対応すると、部分的でも復旧できたら早期稼働再開が可能になります。
火災保険や水災補償を見直して、活用できるものを洗い出すことも忘れずに。
綿半ソリューションズが提供する
「敷地内止水対策」とは

工場の浸水対策は綿半ソリューションズにご相談ください。
当社では、さまざまな浸水対策商品を取り揃えており、お客様の状況に応じた最適なソリューションをご提案いたします。
水害の種類や建物の特性を考慮しながら、計画的にBCP対策を進めることが可能です。
屋根からの雨漏りを防ぐには、WKカバー工法
・既存の屋根の上から、新しい屋根材を重ねて取り付ける工事方法
・日常的な雨漏りリスクも、カバー工法で事前に防ぎ、安心な事業運営を実現
・老朽化した屋根からの雨漏りを確実に防ぎ、室内の設備や製品を水害から守る
豪雨時の谷樋や埋設管からのオーバーフローを防ぐには、バイパス樋
・当社の特許技術「バイパス樋」は、屋根の中間に新たな樋を設置して建物の外に排水する工法
・集中豪雨時に、雨水が谷樋に集中することを防ぐ
・操業しながら、屋根上の工事で集中豪雨の心配を解決できる
機械室など低い位置の換気口等への防水対策には、自動止水ガラリ「パタット」
・重要な設備の機械室や、水が入りやすい地下室への浸水を防ぐ
・水位が上がると換気ガラリを自動的に閉鎖。電源不要で予期せぬ水害時も安心
・通常時は換気ガラリとして使用できる
建物の出入口の浸水対策には、脱着式止水板「パシャット」
・出入口に後付けで設置する止水板で、工場の操業にも影響なく設置ができる
・片手で持ち運べる軽量パネルをはめ込むだけのスピード組み立て
・重要度の高い場所から、段階的に導入することも可能
まとめ

今回は、工場の水害・浸水対策について詳細にご紹介しました。水害による被害を最小限に抑えるには、最悪の事態を考えて日頃から備えておくことが大切です。
万が一に備えて、一度専門家に相談して本格的な対策を行いましょう。
工場の浸水対策は綿半ソリューションズにご相談ください。
たとえば、水害時に自動作動する「防水板」の設置をご提案させていただきます。
通常、水害時に用いられる「土のう袋」や「止水パネル」は設置を行うまでに時間がかかるため、緊急時に設置できない可能性があります。
しかし、綿半ソリューションズの防水板は水の浮力で自動作動をするため、無人環境・停電時にも水の侵入を防ぐことが可能です。
また、ゲリラ豪雨対策として屋根の「バイパス樋」もおすすめです。
バイパス樋では、ゲリラ豪雨による雨樋のオーバーフローを防ぎ、雨漏りを防ぐことが可能です。
雨漏りによる浸水を防ぎ、工場の生産稼働への影響を最小限に抑えることができます。
工場施設への自然災害の対策は綿半ソリューションズまでご相談ください。
まずは無料で現地調査に伺いますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
記事の監修者

春原 典明 常務取締役
1級建築施工管理技士
脱炭素アドバイザーベーシック
弊社はリニューアル事業や外装事業、立体駐車場事業を軸に、気候変動による災害対策として数々のソリューションを提供し、地域への貢献に努めてまいりました。
特に、工場の操業を止めずに改修工事を行うWKカバー工法は、自動車関連工場のお客様を中心に継続的に改修工事をご計画いただき、それが他企業様の工場改修計画へも拡がってきております。
お客様の課題解決に共に取り組むことで、お客様に「安心という価値」を提供いたします。