新たに工場を建てたり、修理したりする場合に屋根の種類をどうするか迷われる方もいるでしょう。
なかには「スレート屋根や折板屋根が一般的と言われているけど違いがわからない」と悩まれる方もいますよね。
本記事では、古くから用いられている「スレート屋根」という屋根の種類について、その特徴をご紹介いたします。
折板屋根との違いやメリット・デメリット、メンテナンス方法なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
スレート屋根の修理が必要になった場合は、ぜひ綿半ソリューションズにお問い合わせください。
1983年にスレート屋根のカバー工法を開始して以来、工事方法の改良や新しい工法の開発を行っております。
スレート屋根はセメントを材料とする屋根材
スレートはもともと粘板岩のことです。
天然スレートと呼ばれる粘板岩は、非常に高価な屋根材としてヨーロッパのお城や東京駅のような建物に使用されており、一般にはほとんど見かけません。
市場には、セメントを固めてデザインを加えたスレート風の屋根材が一般的に出回っています。
戸建て住宅では、「カラーベスト」ブランドの「コロニアル」という商品名で知られる色付きのスレートが人気です。
工場の屋根には、強度を高めるためにアスベストを含んでいた時期もありましたが、健康上のリスクが明らかになってからは、アスベストを使わない繊維入りの材料に切り替えられました。
▶ 屋根材の種類を解説!選ぶポイントや価格、耐用年数についてもご紹介
スレート屋根の種類
スレート屋根の種類は、大きく分けると「天然スレート」と「化粧スレート」の2つがあります。
天然スレート
天然スレートとは、粘板岩などの天然石を使った屋根材のことです。耐久性が高く、色褪せにくい特徴を持ちます。
一方で天然素材なので希少性が高く、施工にも高度な技術が必要なことから価格が高くなる傾向にあります。
国内では東京駅の屋根が代表例ですが、一般的にはあまり目にすることはありません。
化粧スレート
天然石を用いた天然スレートに対して、セメントで加工した屋根材のことを化粧スレートと呼びます。
重量が軽く、耐震性に優れている点が特徴です。天然スレートと比較すると費用が安く、一般的な建物にもよく用いられています。
なお、工場や倉庫の屋根材料には「波形スレート」が広く使われています。
波形スレートとは、セメントと繊維を成形して作られた板状の資材で、大波スレートと小波スレートの2種類があります。
波形スレートが普及した理由は、丈夫でコストパフォーマンスに優れていたからです。
さらに、税制面でも波形スレートで屋根を葺き替える場合は一括損金で処理できるという経済的メリットも。
一方で、波形スレートの課題も明らかになっています。
一部の古い波形スレートにはアスベストが含まれており、健康被害が確認されているためです。
次の項目で詳細を説明します。
工場・倉庫で使われているスレート屋根については下記記事もご確認ください。
工場・倉庫の屋根に使われているスレートは2種類ある!劣化した際の改修方法も解説
スレート屋根とアスベスト
スレート屋根にはかつて、アスベストが含まれていました。
しかし、アスベストを除去する際の健康被害が問題視され、2004年以降はノンアスベストのスレート屋根しか販売できなくなりました。
ただ、全国各地にアスベストを含むスレート屋根は残っており、その処分に困っている方も多いようです。
以下でスレート屋根とアスベストの関係性を詳しく見ていきます。
2004年のアスベスト問題
かつてスレート屋根は、強度を向上させるためにアスベストが使用されていました。
アスベストのおかげで、スレート屋根は割れにくく、より長持ちするようになっていました。
しかし、アスベスト繊維の吸入が肺がんや悪性中皮腫などの重篤な疾患を引き起こす可能性があると指摘され、
2004年に法規制が施行、出荷が禁止されました。
その結果、2005年以降に設置されたスレート屋根からはアスベストが完全に排除されています。
アスベストがないことで劣化しやすい屋根に
アスベストによる健康被害の懸念を受け、アスベストを含まないスレート屋根が現在では主流となっています。
しかしノンアスベスト屋根は、製品や製造ロットによっては10年程度で急激に劣化し、屋根が剥がれたり割れたりするケースもあります。
健康を重視した結果、強度や寿命が疑問視される建材になってしまいました。
なお、現在では問題点がかなり改善され、以前のように使いやすい建材になっています。
アスベストは処分が高額で難しい
アスベストを含む廃材の処分は非常に高額な費用で、一般的には30万円〜50万円が相場といわれています。
瓦屋根の処分費用を上回る処分費用に驚かれるお客様が多いです。
また、空気中に飛散したアスベストが肺に入り込むと、肺がんや悪性中皮腫の発症リスクがあります。
アスベストの適切な処理は専門の資格を持つ業者に委ねることが義務付けられており、安全のため信頼できる業者を見極めて依頼する必要があります。
スレート屋根の寿命は何年?
スレート屋根の寿命は製造時期によって以下のとおり異なります。
世代 | 寿命 | 製造時期目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
第一世代 | 35〜40年 | 〜1990年代中頃 | アスベスト含む |
第二世代 | 15〜25年 | 〜2000年代中頃 | 脆弱で不具合が多発 |
第三世代 | 30年 | 2000年代後半 | 耐久性がまだ不明 |
世代によって特徴や課題が異なるため、以下の項目で詳しく説明します。
第一世代は35〜40年
第一世代の波形スレートは、セメントにアスベストが含まれていました。
アスベストの配合により建材の丈夫さが増し、優秀な性能を発揮していました。
しかし、2004年以降はアスベストの健康被害が問題視されたことにより、第一世代スレートの吹き替え工事に多額の費用を要することが課題となっています。
第二世代は15〜25年
アスベストの健康被害問題を受けて、第二世代の「ノンアスベスト屋根」あるいは「ノンアス屋根」と呼ばれる波形スレートが製造されました。
アスベストを一切含まない代わりに、第一世代に比べてはるかに劣化しやすい特徴があります。
10年程度で修繕が必要になるケースもあり、第二世代スレートの急速な劣化に悩まされるユーザーが多くいます。
第三世代の期待耐用年数は30年
第二世代スレート屋根の不具合を解消すべく、さらに改良された第三世代の波形スレートが2000年後半に発売されました。
まだ実際の耐久性は不明ですが、期待される耐用年数は約30年と言われています。
不具合は解消されたものの、第一世代・第二世代で悪印象を持った人は第三世代のスレート屋根にも抵抗感を覚えるようです。
スレート屋根の代わりに近年注目を集めているのが、ガルバリウム鋼板を使った折板屋根です。
ガルバリウム鋼板を使った折板屋根との違い
スレート屋根とよく比較されるのが「折板屋根」です。
主にガルバリウム鋼板、もしくはカラーガルバリウム鋼板を用いて製造される金属製の屋根のことを指します。
折板屋根は金属製ならではの特徴を持つ
折板屋根は、金属製という特徴から水はけが良く錆びにくいため、耐久性が高い特徴を持ちます。
スレート屋根よりも価格が高い傾向にありますが、メンテナンス費用や修繕費用がかかりにくいことから、
トータルで見ると出費が安く抑えられる可能性もあります。
一方で、気温の変化を受けやすい(夏は熱く、冬は寒い)ことや、雨音が響きやすいことなどのデメリットもあるので、その点は予め把握したうえで検討しましょう。
折板屋根は金属屋根の代表的な工法
折板屋根は、スレート屋根のアスベスト問題から注目を集めるようになりました。
工事はボルトで固定する工法や電動シーマ(締め機)で巻き込んで固定する工法、キャップをはめ込んで固定する工法などがあります。
いずれもシンプルな工法で、野地板が不要なことから工期も短く済むため、多くの屋根で用いられています。
改修工法(カバー工法)にも使われる
折板屋根は新築でも用いられますが、改修時にも検討される方が数多くいます。
カバー工法という工事方法であれば、古い屋根のうえから設置することも可能です。
金属製で比較的軽量なことから耐震性も問題ありません。
また、既存の屋根の撤去費用がかからないため、とくにアスベストが含まれた古いスレート屋根の建物を持つ方におすすめです。
スレート屋根のメリット
スレート屋根のメリットをご紹介いたします。
- ● 比較的価格が安い
- ● 遮音性に優れている
- ● 燃えにくい
- ● 長期間使用できる
比較的価格が安い
施工時にスレート以外で必要となる部材があまりないため、屋根材のなかでも比較的価格が安い傾向にあります。
施工も複雑ではないことから、工事費用も安く済むため、屋根の費用を抑えたい方におすすめです。
波形スレートを同じ波形スレートで張り替えた場合、一括損金で形状できるメリットもあります。
遮音性に優れている
金属製の屋根と比べると、波形スレートは遮音性に優れているメリットがあります。
そのため、雨音が大きく聞こえるといった心配がなくなります。
また、近所に機械音が漏れて迷惑をかける恐れもなくなるでしょう。
燃えにくい
波形スレートは法定不燃材料です。
つまり火災が発生しても加熱開始後20分間燃焼せず、有害な煙やガスも発生しません。
そのため、万が一火災が起きても安全に避難できる可能性が高い利点があります。
長期間使用できる
波形スレートの耐用年数は25年以上です。
メンテナンスなしで長期間使用できる点が最大の強みと言えるでしょう。
ただし、スレート材を固定するボルトの劣化により修繕が必要になることはあります。
スレート屋根のデメリット
一方で、スレート屋根にはいくつかデメリットもあります。
- ● 比較的汚れやすい
- ● アスベストが含まれている可能性がある
比較的汚れやすい
表面に凹凸があるため、砂や埃がつきやすいデメリットがあります。
汚れても劣化・腐食するわけではないため、メンテナンスなしで放置されやすいのがスレート屋根です。
美観を損なうと企業イメージを下げる恐れがあるため、定期的に洗浄しましょう。
アスベストが含まれている可能性がある
2004年以前の波形スレートにはアスベストが含有されている可能性が高いです。
その場合、吹き替え時に廃材の処理・撤去費用が高額になるため注意しましょう。
なお、2004年以降に作られたスレートならアスベストを気にする必要はありません。
スレート屋根の修理・メンテナンス方法
スレート屋根が壊れた際には、専門業者に修理を依頼できます。修繕方法には以下のようなものがあります。
- ● 塗装
- ● スレートの差し替え
- ● 葺き替え
- ● カバー工法
塗装
スレート屋根が古くなったら、工場の見栄え向上・回復のために塗装をしましょう。
単にイメージチェンジを図りたいときも塗装がおすすめです。
塗装費用の相場は5,000円〜8,000円程度です。
ただし、塗装をしても屋根の寿命を延ばすことはできないため要注意です。
また、劣化した波形スレートは非常にもろく、直接乗ったことで踏み抜き事故を起こした事例が多く発生しています。
作業員だけでなく、建物内の人や機械にも危険が生じるため、安全対策を徹底している業者へ依頼しましょう。
スレートの差し替え
スレート屋根に部分的な割れや欠損があった場合、壊れた部分だけ差し替え可能です。
費用は1枚あたり2万円〜4万円程度です。部分補修で問題がなければ、スレートの差し替えで対応するのが適切でしょう。
葺き替え
葺き替えは古い屋根を撤去したうえで、新しく屋根を設置する工事方法です。
新品の屋根を取り付けるので耐久性が高くなるというメリットがあります。
一方で、古い屋根の撤去費用がかかるため、修理費用は比較的高くなります。
とくに2004年以前に建てられたアスベストが含まれる屋根の場合、注意が必要です。
1平米あたりの費用目安は24,000円〜30,000円前後となります。
カバー工法
カバー工法は既存の屋根のうえから、新しく屋根を設置する方法です。
葺き替えとは異なり屋根を撤去する必要がないため、その分だけ費用を安く抑えられ、環境への影響も低減できます。
また、屋根が二重になるため断熱性や防水性はさらに高まると考えられます。
一方で屋根自体が重くなることから、工事が不可能な場合もあることに注意が必要です。
1平米あたりの費用目安は8,000円〜10,000円前後となります。
スレート屋根の修理なら綿半ソリューションズがおすすめ
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しかし綿半ソリューションズのインダイレクト工法では、独自のセーフティーシートを活用してスレート屋根に乗らない工事方法を実現しました。
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