倉庫や工場では、夏になると室温が40℃を超えてしまう日も出てきます。
その原因の多くは、金属製の折板屋根が放射する輻射熱と、空調設備の老朽化や効きの悪さにあります。
倉庫の暑さは作業効率の低下や熱中症のリスク増加にもつながるため、早急な対策が不可欠です。
この記事では、現場レベルで即実践できる暑さ対策から設備投資で根本改善を図る手法まで紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
個人でできる倉庫作業の暑さ対策

まず、作業員の方が今すぐできるレベルの暑さ対策をお伝えします。
● こまめに水分・塩分補給する
● クールタイプのボディシートを使う
● クールタオルを使う
こまめに水分・塩分補給する
熱中症予防で最も基本的で重要なのが、適切な水分と塩分の補給です。
厚生労働省のガイドラインでは、「水分はコップ1〜2杯(100〜200ml程度)を20〜30分ごとに補給することが望ましい」と明記されています。
汗とともに塩分も失われるため、水分だけでなく経口補水液や塩飴などでナトリウムを補うことも必要です。
のどが渇く前に、計画的に水と塩分を摂るよう心がけましょう。
クールタイプのボディシートを使う
冷感成分入りのボディシートも効果的です。
汗を拭き取りながら体を冷やせます。
特にメンソールなどの成分が含まれるタイプは、気化熱と冷感作用によって一時的にひんやり感を得られます。
首筋・脇の下・膝裏など、太い血管が通る部分を中心に使用することで、全身に涼しさが伝わりやすくなります。
屋外に出た直後や、昼休み後の作業再開前に使うと効果的です。
市販品でも入手しやすく、値段もあまり高くない点もメリットです。
クールタオルを使う
クールタオルは、水に濡らして絞るだけでひんやり感が得られる暑さ対策アイテムです。
濡れたタオルが蒸発する際の「気化熱」を利用して、肌の表面温度を下げます。
首元や頭に巻くと効率よく冷やせます。持続時間も比較的長いのが特長です。
100円ショップなどでも購入できるので、安く手軽に使えるものを探している方におすすめです。
会社でできる倉庫作業の暑さ対策

続いて、設備投資を伴うレベルの暑さ対策をご紹介します。
● 遮熱シート・遮熱塗料を使う
● 屋根用スプリンクラーを設置する
● スポットクーラーを置く
● ビニールカーテンで空調効率を高める
● シーリングファンを設置する
遮熱シート・遮熱塗料を使う
屋根や外壁の温度上昇を抑えるには、遮熱塗料や遮熱シートが効果的です。
遮熱塗料は太陽光に含まれる赤外線を反射し、表面温度を大きく下げる働きがあります。
実際、塗布によって屋根表面温度が15〜20℃低下したケースも報告されており、室内の温度上昇を止める効果があることがわかっています。
空調の負荷が軽減され、電気代の削減にもつながります。
導入費用はかかりますが、省エネと快適さを両立できる手段として検討する価値はあるでしょう。
屋根用スプリンクラーを設置する
屋根にスプリンクラーを設置して水を散布することで、蓄熱を抑えることが可能です。
日射を受け続ける金属屋根は、真夏には高温になりやすく、屋内温度の上昇を招きます。
スプリンクラーで屋根の表面を冷やせば、熱が建物内へ伝わるのを少しでも緩和して倉庫内が暑くなりすぎるのを防げます。
屋根用スプリンクラーの導入を検討したい方は、次の記事も併せてご覧ください。
工場・倉庫の屋根散水のメリット・デメリットを解説
スポットクーラーを置く
作業員の定位置など、局所的に冷却するならスポットクーラーが適しています。
倉庫全体の温度を下げるのではなく、必要な場所にピンポイントで冷風を送り出す機能が特徴です。
特に仕分けや検品など、一箇所に長くとどまる作業には大きな効果があり、体感温度の低下と集中力の維持が見込めます。
ただし、倉庫全体の気温を下げる効果は限定的なので、他の対策と併用することが望ましいです。
ビニールカーテンで空調効率を高める
冷気を逃さずに外気の侵入を防ぐには、ビニールカーテンが有効です。
倉庫は広く仕切りがないため、空調効率が悪くなりがちですが、部分的に区切ることで冷却効果を集中させられます。
冷房を使用している倉庫では、カーテンの有無で体感温度に明確な差が出ることもあります。
透明なビニールカーテンを設置すれば、向こうの様子が見えなくて困ることもないので、現実的に検討しやすい方法でしょう。
シーリングファンを設置する
シーリングファンは倉庫内の上下に分かれた温度をかき混ぜ、空気を循環させる役割を果たします。
特に天井が高い倉庫では熱気が上部に滞留し、作業エリアとの温度差が生じやすくなります。
ファンを設置することで、床付近にこもる熱気を上に逃し、冷気を効率よく循環させることが可能です。
電気代を抑えつつ導入できる省エネ対策としても注目されています。
綿半ソリューションズが提案する
倉庫作業の暑さ対策

最後に、弊社で提案可能な倉庫作業の暑さ対策を3つご紹介します。
● 遮熱シート+WKカバー
● 大型物件用換気棟
● クールルーフファン
遮熱シート+WKカバー
高温化しやすいスレート屋根には、遮熱シートとWKカバーの併用が極めて有効です。
WKカバーは既存屋根の上に新たな屋根を被せ、間に遮熱シートを敷くことで、輻射熱の侵入を大幅に抑える二重構造を採用しています。
輻射熱とは太陽から放射される熱線で、暑さの原因の一つです。
実測では、通常のスレート屋根裏面温度が63.5℃だったのに対し、WKカバーⅡ型(遮熱シート併用)では最大43.1℃と、20℃以上の温度差が記録されています。
高温リスクを構造的に改善する手法として、確かな実測データに基づいた信頼性の高い対策といえるでしょう。
詳細を知りたい方は、次のページも参考にしてみてください。
「WKカバー工法」とは?
大型物件用換気棟
広い倉庫や工場の屋根裏には、熱気や湿気がこもりがちです。
特に天井が高く、屋根材に太陽の熱が直接当たる構造では、夏場は屋根裏がサウナのような状態になることもあります。
換気棟は、この熱や湿気を自然の力で外に逃がすための設備です。
空気の流れを作ることで屋根裏の温度上昇を抑え、冷房効率の向上にもつながります。
また、湿気がたまりにくくなることで、結露や屋根材の劣化を防ぐ効果もあり、建物の寿命を延ばすのにも役立ちます。
クールルーフファン
電力を使わずに倉庫の暑さを和らげたい場合は、クールルーフファンが効果的です。
この装置は、外の空気を水の気化によって冷やし、涼しい風として屋内に取り込む仕組みです。
内部にある「気化放熱エレメント」が空気中の熱を吸収し、自然な冷風を生み出します。
電源を使わずに動作するため、電力使用量を抑えたい現場や、空調を導入しづらい環境でも取り入れやすいのが特長です。
設置コストや維持費も比較的抑えられるため、省エネ対策を進めたい企業にとっても現実的な選択肢となります。
まとめ

今回は、倉庫作業をする際に取り入れられる暑さ対策を11個ご紹介しました。
水分補給やクールグッズなど、個人で手軽に実践できる方法から、設備を導入する本格的な対策まで、現場の実情に合わせた幅広いアプローチが可能です。
とくに、建物そのものの構造的な課題にアプローチできる対策としては、「遮熱シート+WKカバー工法」「大型物件用換気棟」「クールルーフファン」の3つが非常に有効です。
いずれも屋根から侵入する輻射熱や熱気を軽減する仕組みを持ち、暑さの根本対策として導入価値の高い方法です。
倉庫内の暑さは、作業効率や安全性だけでなく、従業員の定着率や職場環境改善にも直結します。
上記の対策を取り入れてみたい方は、ぜひご相談ください。
気流改善対策